はじめの一歩4月号(通算第61号 )
小さなエピソードより
市川 佳子
先日、家族で買いものに出掛けた時のことです。私は自分のセーターに会うネックレスを選んでいました。そして、ペンダントヘッドの石の色違いの2つで、どちらにしようか、迷っていたのです。そこへ小学校3年生の息子がやって来て、2つのネックレスを私の胸にかわるがわるあててから、
「う~ん。お母さんは、こっちが似合うよ。」
と、言って選んでくれました。私はビックリ! 夫にだって、そんな風に自分の身につけるものを選んでもらったのは、思い出せないくらい昔の話・・・。
「え~っ! 選んでくれるの? 嬉しい♡」
と、素直にはしゃいでしまいました。そして、もちろん息子が選んでくれたものを購入! この時、息子は、
『お母さんは、ぼくが選んであげると、とっても嬉しいんだ!』
と、確信したようでした。なぜなら、続いて、洗濯カゴを選ぶ時、「お母さん、持ってみて!」と数種のカゴを私に持たせ、
「お母さんは、こっちの青いのが似合うよ!」
と、まじめ顔でいったのです。
「そう?ありがとう。」と、いいながら、私はおかしくて思わず吹き出してしまいました。まさか、洗濯カゴまで似合うものを選んでもらえると思いませんでしたから・・・。
このささやかなエピソードのお陰で、安もののネックレスも、平凡な洗濯カゴも、私の中では『とっておき』に変身しました。
子育てをしていると、こんな心がほころぶできごとに沢山、出会えますよね。どこのお家にも、そのお家ならではの、その親子ならではのエピソードがあると思います。また子供が成長すれば、その年齢ごとに、新しいエピソードが生まれてくるのではないでしょうか?
まだまだ続く子育て。これからも子供の成長や愛しさを沢山感じながら、思わずクスッと笑ってしまう幸せな気持ちをじっくり味わいながら、子育てを楽しんでいきたいと思います。