はじめの一歩3月号(通算第84号 )
「人生の箱」
清水さゆり
親になるといろいろ子のために箱を開けなければならない。
保育園、小学校、中学校の箱と、ここまでは親の義務でそれぞれの箱に思い出をいっぱい詰め、そして閉めてあげていた。
私の息子は今年、高校受験を経験した。
そして自分で選んだ2つの箱を持って来た。
どれも私としては怖くて開けることはできない選択のもの。でも息子は前向きな気持ちで自分から開けた。
1つは不合格の箱であった。でもそこであきらめずにもう一つの箱を開けた。そしてみごと合格を手に入れたのだ。
私も担任の先生も無理だと思っていたが、息子の根性に期待し、見守ることにした。あの時、私がストップをかけていたら今の合格を味わっていなかったと思う。
本当に思うことは『箱は開けてみなければわからない』と言うことだ。
怖がって開けなければ、その箱には思い出も経験も何もなくからっぽなのだ。
今回、息子は2つの箱を自分で開け、泣いて!笑って!それぞれの経験は、彼の成長と共に人生の財産になっていくと思う。
これから先、様々な箱が現れてくると思う。でも自分で決めて怖がらずに勇気をもって開けて行ってほしい。どんなに苦労な箱でも、それぞれの経験が人生の宝物になると思うから・・・
少しずつ親離れして行く息子を今、私はすごく眩しく思う。
私自身はこれから何個の箱を開けられるだろうか?
息子と競争だ。