はじめの一歩3月号(通算第72号 )
『おばあちゃんの思い出』
原島久美
今まで当たり前に思っていたことが当たり前でなくなったとき、初めて気付くことがあることを知りました。
11月に祖母が他界しました。あまりにも突然のことで、すぐには受け入れられず、実感はありませんでした。「だってあんなに元気だったのに・・・。」そんな思いが頭を巡りました。
祖母がいなくなった今、生前よりも祖母を近くに感じることが多くなりました。それは、祖母のことを考えることが増えたからかもしれません。祖母は優しくてとても穏やかでした。92歳で亡くなるまで大きな病気もせず、身の回りの事は人の手を借りずにこなし、昔のことも本当によく覚えていました。私はそんな祖母を誇らしく思っていました。近所に住んでいても、なかなか会う機会が少ない中で、顔を出すと必ず玄関先まで出てきてくれました。遠くに暮らす私の姉のこともいつも気にかけてくれていました。
私がこの職業に就いたとき、こんなことを言ってくれました。「くみちゃんは保育園の先生になったの。えらいねぇ。」まだまだ未熟な私が、これだけでとても誇らしい気持ちになったものです。今は亡き祖母の姿に思いを馳せ、考えます。もっとこうしておけばよかった、たくさん話をすれば良かったと。でも、もう祖母はいないのです。
大人になるにつれて、やりたいと思うことを形にするのに時間がかかるようになりました。それは、先に頭で考えてしまうからかもしれません。「失敗したらどうしよう・・・。」「もし上手くいかなかったら・・・。」と。でも、頭の中で考えていることや、自分の思い、希望を形にしていく勇気をこれからは持ち続けたい、挑戦しないで後悔するより、やってみて後悔することを重ねていこうと思います。
おばあちゃんとの思い出に背中を押され、一歩前に踏み出してみようと心に決めました。