はじめの一歩12月号(通算第93号 )
『思い出』
耒住野聡美
保育園で子どもたちと関わらせていただいていると、「私にも昔こんなことがあったなあ」と忘れかけていた苦い思い出がよみがえることがあります。
クッキングの場面で子どもたちが様々な活動を楽しそうに取り組んでいる場面を見て、昔、母がハンドミキサーでクリームを泡立てているのが楽しそうで、やらせてもらった途端クリームを全てまき散らしてしまったこと…
子どもがお箸を一生懸命頑張って使っている場面を見て、自分も昔、食事の度に父にお箸の持ち方を注意され、泣きながらご飯を食べたこと…
外で楽しそうに三輪車に乗っているところを見ては、「三輪車を卒業してその次の自転車に乗れるようになるまでに、友達とどれだけ練習したっけなぁ」と余計なことまで考えてしまう時もあります。
けれど、一度出来るようになってしまうと何てことはなく、嬉しさでその時のつらさを忘れてしまうのですね。
子どもたちには日々、苦いけれど、今となっては懐かしくて、くすっと笑ってしまう思い出を引き出す貴重なきっかけをいただいています。